【ご相談前】
Aさんは、お父様の代で未了だったご祖父様の遺産分割について、相続人が多数人にわたることから、当事務所に遺産分割の交渉をご依頼されました。
【ご相談後】
当事務所に交渉をご依頼いただき、まず、当事務所から各相続人の方にお手紙をご送付し、相続についてのご希望をお尋ねいたしました。一定の時間は必要となりましたが、相続人全員からお返事をいただくことができました。そして、遺産となる財産は不動産だけであるところ、Aさん以外の相続人の方で、遺産の承継をご希望される方はいらっしゃらないことが判明しました。
そこで、Aさんが遺産である不動産を相続できるよう、各相続人のうちBさん以外の方に、相続持分をAさんに譲渡することを内容とする「相続分譲渡証書」をご作成いただき、最終的にBさんとAさんで遺産分割協議書を作成し、本件を解決いたしました。
【弁護士からのコメント】
相続人多数の遺産分割においては、①各相続人の方の希望の確認・整理、②遺産分割解決の書類作成方法、が重要になります。
本件では、①については、各相続人の方のご協力により、ご希望の集約を円滑に行うことができました。
②に関しましては、本件では、上記のように、各相続人の方に個別的に相続分譲渡証書又は遺産分割協議書という書類にご署名押印いただく方針を採用しました。相続人が12人と多数人ですので、全員で連名の遺産分割協議書を作成して12人全体での一斉解決を図るとなると、全員にご署名いただくまでにお時間が必要となり、解決まで多大な時間を要することが見込まれました。そこで、今回は、個別的に「相続分譲渡証書」をご作成いただくことにより、最終的にはAさんとBさんによる遺産分割によってAさんが不動産を承継するという解決を見据えつつ、各相続人の皆様のタイミングに合わせて書面作成をしていただくことにより、円滑な解決を図ることができた事案でした。